獣医師日記

今年もフィラリア予防の季節が来ましたね。

まだ、予防を開始していない方にはしっかり予防しよう。と思ってもらえるように。

もうすでに予防を開始している方には復習の意味を含めて簡単にまとめます。↓

【フィラリア】

正式名称で犬糸状虫といい、犬科の動物の他に猫や牛などにも寄生が確認されています。名前の通り糸状の長細い形態をしており、最終寄生部位は心臓、特に右心室や肺動脈と呼ばれる場所に寄生します。

【症状】

元気食欲の低下、咳、血尿(正式には血尿ではなく血色素尿といい赤ワイン色)、腹水の貯留など多岐に渡ります。フィラリア症の症状は、少ない数の寄生でも死に至る場合(以下に説明)や、たくさん寄生している場合でも症状がでないケースなど様々です。

また、フィラリア症の一番怖いケースは大静脈症候群(vena caval syndrome)と呼ばれるもので、右心室・肺動脈に住みつく成虫が右心房に移動すると起こる症状で、循環不全に伴う急激な元気食欲低下(虚脱状態)、腹水貯留、呼吸促拍などがおこります。

この状態まで陥ると、手術による虫体の摘出(アリゲーター鉗子という特殊器具を使います)しか方法がありませんが、麻酔リスクが非常に高いことなどにより周術期に亡くなってしまう可能性がかなり高いため、難しいケースが多いのが現状です。

 

これらの症状にならないためにも、予防が必要になります。予防にあたって、初めに感染の有無を調べる必要があります。仮に感染していた場合、予防薬を投与すると虫体の死滅により肺に虫体が詰まってしまったり(塞栓症)、ショック症状に陥ることがあります。ここでいう予防薬とは、フィラリア幼虫に対する治療薬(抗寄生虫薬)にあたり、蚊に刺されることで侵入してきたフィラリア幼虫を殺虫するためのお薬で、成虫にさせないことが目的です。

 

この予防薬も侵入後1ヶ月以上たつと幼虫に対しての効果が認められなくなるため、予防が1ヶ月以上抜けてしまった方には次年度成虫の有無を確認する必要があります。

 

フィラリアは予防を抜け目なくしっかりしていれば感染しない病気とされているので、室内外問わず、しっかり予防していきましょう。

 

また、猫のフィラリア症も多数報告されています。犬と違い血尿などの特徴的な症状がありませんが、HARD(犬糸状虫関連呼吸器症候群)と呼ばれる病気があり、猫喘息と症状が類似しているといわれています。猫の場合、成虫になり心臓にすみつく割合が犬と比べてかなり低いことと、検査キットによる検出が一般的でないため、感染しているかどうかの確認は難しいのですが、犬同様に感染してしまい、症状が強く出ると死に至る場合も多いです。

 

そのため、猫ちゃんにおいても予防の意識をしっかりもち、毎年の予防を心がけるようにお願いいたします。  獣医師 大塚