パル日記

2018.09.04

CT検査室だより(1) 『胃の中に何かある?』

CT検査を担当させてもらっています 獣医師の柘植です。

 

パル動物病院の手術室の奥のほうにCT検査室があるのを皆さんご存知でしょうか。

人では一般的な検査の一つですが、動物さんにとってはほとんどが麻酔をかけてする検査のため、『簡単にはできない検査』として認識されていることが多いです。

そこで、少しでもCT検査は一体どのようなことをしているのか

 

今回はCT検査で見つかった異物についてお話をさせていただきます。

 

わんちゃんねこちゃん達の中にはどんなものでも口の中に入れてしまう子がいます。

もちろん、飲み込むつもりがなくても遊んでいる拍子にたまたま口の奥にはいってしまうことだってあります。ただ、彼らはそれを私たちにいうことができません。

『おもちゃ食べちゃったー』とか『実は盗み食いしたの』とか言ってくれたらいいんですけどね。

 そういったおもちゃ類がうんちとしてでてきてくれたら問題はないのですが、大事になるのは胃の中に残ってしまう場合や小腸で詰まってしまう場合です。

特にひも状のものは危険になることが多く、最悪の場合、見つけるのが遅くなってしまったら消化管に穴があいたり、ちぎれてしまうことだってあります。

 

 今回紹介させてもらう子は、5か月のフレンチブルドックさんです。

吐き気がつづき、食欲がなくなってきたことを主訴に来院されました。

胃の中をエコー検査でみてみると胃の中、胃から先の消化管に何かがあることが判明しました。消化管の状態で緊急と判断し、翌日にCT検査と開腹手術を行いました。

おわかりでしょうか。胃の中からその先の小腸にひも状の物体があります。

胃内のものを拡大してみましょう。

※色付けは本来のいろではありません わかりやすいように色を付けています。

実際にその後、開腹手術において胃から小腸にロープがつまっていることを確認し、取り出しました。

飼い主様にお話をおききすると、ロープ状のおもちゃがいつのまにかなくなっていたとのことでした。

 

かわいい子にはたくさんのおもちゃをかってあげたい。喜ぶ姿がみたい。お気持ちはよくわかります。実際、わたしもそうです。だからこそ、そういったおもちゃがその子を危険にさらすことになってしまうのはとても残念です。このような事故を防ぐためにも、そのこの性格と体格にあったおもちゃを選んでください。そして、かったおもちゃが現在どのような状態なのか、壊れていないか、毎日確認してあげてください。

 

異物は早期発見が重要です。何か飲み込んだのを確認したら、はやめに病院まできてくださいね!!

 

追伸:もちろんすべての異物がCT検査でみつかるわけではなく、レントゲン検査やエコー検査で判断できるものもあります。今回のCT検査はあくまでも手術の補助として検査させていただきました。

 

獣医師 柘植