パル日記

2024.10.05

獣医師コラム★第8回『てんかん(発作)』

みなさんこんにちは。獣医師の本多と大塚です。

パル動物病院 獣医師コラムも第8回となりました。

今回のテーマは『てんかん(発作)』です。

 

 

『てんかん(発作)とは』

てんかん発作とは、脳の異常な電気信号が原因で引き起こされる発作のことであり、てんかんとは、てんかん発作を繰り返す病態のことをいいます。

発生率は、犬では全体の12%(100頭に12頭)、猫では全体の0.5%(200頭に1頭)の割合と言われており、これは決して少ない数字ではありません。   

 

 

 

『てんかんの分類』

・特発性てんかん

検査をしても異常が見つからない、原因不明のてんかんをいいます。

厳密には病変がないわけではなく、脳の神経細胞という非常に小さな部分での異常が検出できないだけで、遺伝的要素によるものではないかと考えられています。そのため比較的若い年齢で発症することが多いとされています。

 

・症候性てんかん
特発性てんかんとは異なり、様々な年齢で発症し、水頭症、脳腫瘍、脳炎、外傷による脳出血など、脳の中で何らかの障害が発生したことにより引き起こされるてんかんをいいます。そのため原因となる病気をどのように治すかが大切となります。

 

・潜因性てんかん

症候性てんかんが疑われるものの、検査では異常が見つからないてんかんをいいます。

交通事故で頭部に衝撃を受けた後に発作があったにも関わらず、その後の検査で異常がみられないケースなどがこれにあたります。

 

非てんかん発作

脳以外で生じた病気が脳に影響を及ぼした結果で引き起こされる、てんかん発作によく似た発作のことをいいます。低血糖症、尿毒症、低カルシウム血症、肝性脳症などがこれにあたり、この非てんかん発作においても、原因となっている病気を治療していくことが大切となります。 

 

 

『てんかん発作の症状』

・全般発作

脳の広範囲で異常な興奮が起こるため、意識の消失や、全身性のけいれんがみられる発作です。手足を突っ張るような強直性発作、全身が震えるような間代性発作、またその両方が表れることもあります。その他では、犬かきのような遊泳行動、失禁、脱力発作などがあります。

 

・部分発作

脳の一部だけで異常な興奮が起こるため、全般発作と違い、意識はあることが多いとされます。しかし異常な興奮が生じた脳の場所によって症状が異なるため、視覚を失う、よだれが出る、手足の一部がけいれんする、遠吠え、空中に咬みつこうとするなど様々です。また部分発作から全般発作に移行することもあるため、突然意識を失うこともあります。

 

以下の場合は緊急対応が必要となる場合があるため、すぐに動物病院を受診してください。

 

・発作重積

1回の発作が5分以上続くか、発作がおさまり意識が回復する前に次の発作が連続して起こる状態。

 

・群発発作

24時間以内に2回以上の独立した発作が起こる場合(1日に何度も発作が起こる場合)。 

 

 

このようにてんかん発作の症状や持続時間は様々です。また発作前~発作後まで含めれば、更に様々な症状も含まれるため、飼い主様の観察がより重要となってきます。

 

 

 

 

『発作の診断』

まずは問診によって、発作の状況や重症度などを確認します。その後は、身体検査、血液検査、画像検査などによって、全身の健康状態を確認していきます。これは先にも述べた、てんかん以外の病気で起こる発作を除外することがとても大切となるからです。 

 

 

 

『治療法』

てんかんの治療は、抗てんかん薬の内服を行う対症療法が基本となります。それでも発作を完全に0にすることは難しい場合もあり、毎日の投薬はとても大変に思うかもしれません。しかし抗てんかん薬を使用することによって、てんかん発作の頻度を低下させ、飼い主様や動物さんのQOLを維持することができるのです。 

 

 

最後に・・・

てんかんは適切な診断と治療を行いコントロールしていければ、動物さんたちは普段通りの生活を送ることができます。もしそれでも発作が起こってしまった場合、まずは落ち着いて対処できるようにしておきましょう。動物さんが無意識に噛みついてしまう恐れもあるため十分に注意し、可能であれば転落の危険などがない安全な場所へゆっくりと移動させてください。またその状態を録画で残すことによって今後の治療に役立てることもできます。

日常生活ではなるべく発作が起こらないよう過度なストレスを避け、発作の前兆も含め、日頃からよく動物さんたちを観察しておくようにしましょう。当院ではてんかんに良いとされる食事やサプリなども取り扱っています。発作に関して何か気になる点や不安な点があれば、お気軽にご相談ください。

 

パル動物病院

獣医師 本多・大塚