パル日記
獣医師コラム★第10回『糖尿病』
みなさんこんにちは。
記念すべき第10回コラムは獣医師の船田と菊竹が担当させていただきます。
人でも多いであろう『糖尿病』についてお話させて頂こうと思います。
- 高血糖とは
食べ物に含まれる糖質は消化管を通る際、消化酵素によってグルコースなどの単糖類に分解さ
れます。グルコースは小腸で吸収され血液中に流れ込んだ後、全身の細胞に取り込まれエネル
ギー源として利用されます。正常では血液中のグルコース濃度は一定の範囲で保たれています
が、この範囲を超えて血糖値が高くなる状態を「高血糖」といいます。
- 糖尿病とは
血糖値が高くなると膵臓のランゲルハンス島のβ細胞からインスリンを分泌します。インスリンは
血液中に分泌され、筋肉や脂肪細胞の受容体に結びついて、糖を細胞内に取り込ませることで
血糖値が下がります(図1)。
糖尿病とは、このインスリン作用が不足することにより、慢性的に高血糖が続く疾患です。主な症
状に多飲・多尿、脱水、体重減少があげられます。
インスリン作用が不足する原因は次の2つがあります:
①分泌機能の低下(図2)
膵臓がインスリンを十分に分泌できなくなり、筋肉や脂肪組織に
糖が取り込まれず、高血糖になります。
②抵抗性の亢進(図3)
インスリンが分泌されていても、細胞がインスリンに対して反応しにくくなり、 血糖値が下がり
にくくなります。
- なぜ多飲・多尿?
通常、グルコースは腎臓の糸球体で濾過され、尿細管で再吸収されるため、尿中にはほとんど
含まれません。しかし、血糖値が高い状態が続くと、糸球体で濾過されたグルコースが再吸収で
きなくなります。このグルコースが腎臓の集合管において浸透圧を高め、結果的に水分を引き寄
せて尿量が増加します。これが「多尿」の原因です。多尿により体内の水分が失われると、脱水
状態になり、口渇が生じます。これが「多飲」へとつながります。
- なぜ痩せる?
糖は体内で最も重要なエネルギー源です。糖が細胞に取り込まれずエネルギーとして使用でき
ないと、細胞は代替のエネルギー源として脂肪を使用し始めます。そのため、体内の脂肪が分解
されエネルギーとして使われ、結果的に体重が減少します。これが糖尿病で痩せる理由です。
- 犬と猫の糖尿病の原因
犬の糖尿病の主な原因には、クッシング症候群、黄体期、膵炎、遺伝的素因があります。
一方、
猫の糖尿病の原因には、肥満、膵炎、ストレス、遺伝的素因が挙げられます。犬の場合、必ずし
も肥満が糖尿病の原因とは限りませんが、猫では肥満が重要な要因となることが多いです。
最後に・・・
糖尿病は早期発見が大事です。発見が遅れると『糖尿病性ケトアシドーシス』という怖い病態に
陥ることもあります。最近、よく水を飲むようになった、おしっこの量が増えた、なんだか痩せてき
た等の気になることがありましたら、早めにご相談ください。
獣医師 船田・菊竹
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