パル日記

獣医師コラム★第14回『フィラリア・混合ワクチン』
こんにちは!獣医師の小野と菊竹です。
今回の内容は、ワンちゃんネコちゃんにとっても重要な予防系についてです。
フィラリア予防と混合ワクチンについてご紹介します!
–––––– フィラリア予防について ––––––
フィラリア症は、蚊を媒介として寄生虫が体内に入り込み、心臓や肺に大きなダメージを与える怖い病気です。特に犬では重篤な症状を引き起こしやすく、適切な予防が欠かせません。今回は、フィラリア症の基本情報と予防の重要性について詳しくお話しします。
- フィラリア症とは?
フィラリア症は、犬や猫に寄生する「犬糸状虫」という寄生虫が原因となる病気です。この虫は蚊によって媒介され、犬や猫の体内で成長し、最終的には心臓や肺の血管に寄生します。感染が進むと、血液の流れが妨げられ、呼吸困難や咳、食欲不振、疲れやすさなどの症状が現れます。重症化すると命に関わるため、早めの対策が必要です。
- フィラリアのライフサイクル
フィラリアは、感染した蚊が犬や猫を刺すことで体内に侵入します。初めは皮下組織や筋肉内で成長し、その後血管を通って心臓や肺動脈に移動します。成虫になるまで約6か月かかり、最長で30cm近くに成長することもあります。メスの成虫は子虫(ミクロフィラリア)を産み、これが蚊に吸われることで新たな感染サイクルが始まります。
- 犬と猫のフィラリア症の違い
以上のように犬糸状虫は蚊を介して感染する寄生虫なので蚊に刺される動物はすべて感染する可能性があるといえます。なかでも犬の体内は犬糸状虫にとってもっとも住みやすい環境であり、体内で多数の成虫が成長しやすいため、重篤な症状を引き起こします。一方、猫はフィラリアの寄生率が低く、成虫が成長しにくい傾向があります。
しかしながら、猫においてもフィラリアによるリスクは0ではないので予防を行うことは重要です。
- フィラリア症の予防方法
フィラリア症は、適切な予防薬を使用することで防ぐことができます。予防薬には、飲み薬(チュアブル・錠剤)、スポットオン(皮膚につけるタイプ)、注射タイプ(要相談)があります。
当院では、予防シーズン最初のフィラリア予防薬投薬前に必ず血液検査によってすでにフィラリアに感染していないことを確認したうえで投薬を行うことを推奨しています。これは、すでにフィラリアに感染している状態で予防薬を投与すると、命に関わる副作用を引き起こす危険があるためです。特に、前シーズンの予防が不十分だった場合や、予防を始めるのが初めての犬の場合は、検査を行うことで安全に予防をスタートできます。
- 予防の期間
「蚊がフィラリアを運ぶ=すぐに感染」というわけではありません。実は、フィラリアの幼虫は、蚊の体内で一定の温度と時間が必要な環境で育たないと、犬や猫に感染できる状態にならないのです。
この「フィラリアが感染可能な幼虫に成長するまでに必要な温度の積み重ね」を数値化したものがHDU(Heartworm Development heat Unit)です。気温が一定の基準を超えた日が続くとHDUが増え、一定値に達すると、蚊の中のフィラリア幼虫が感染可能な状態になります。
このHDUの概念から考えると、以前から予防薬を投与すべき期間は4~12月と言われていましたが、昨今の気候変動やご自宅周囲の環境によって蚊が出現する期間も県内でもばらつきが確認されています。より適切な予防期間を決めるためにも詳しくは院内スタッフにご相談ください。
- 飼い主様に気をつけていただきたいこと
まずは予防薬を決められたスケジュールで確実に投与することが大切です。
また、感染源である蚊を減らすための環境整備(室内での蚊の侵入を防ぐ、庭の水たまりをなくすなど)もとても有効な対策となりますのでぜひ取り組んでみてください。
- まとめ
フィラリア症は、一度感染してしまうと治療が難しく、場合によっては命に関わる病気です。しかし、適切な予防を行えば防ぐことが可能です。
春の予防シーズンはお待たせする時間も長く、ご迷惑をおかけしますが、愛犬・愛猫のためにフィラリア予防をしっかりと行なっていきましょう。気になることがあれば、いつでも当院スタッフまでご相談ください。
–––––– 混合ワクチンについて ––––––
ワクチンは、愛犬・愛猫の健康を守るためにとても重要なものです。ウイルスや細菌による感染症は、時に命に関わることもありますが、ワクチンを接種することで高い確率で予防が可能になります。今回は、犬と猫のワクチンについて詳しく解説します。
- ワクチンの役割とは?
ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌の一部を弱毒化・無毒化したものを接種することで、免疫を作り、将来の感染を防ぐ仕組みになっています。ワクチン接種によって抗体が作られ、万が一ウイルスに接触しても、症状が軽く済んだり、感染そのものを防いだりすることができます。
ワクチンで予防できる病気は複数ありますが、世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドライングループでは、ワクチンを「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の2つに分けることを提唱しています。
コアワクチンは、犬、猫が必ず接種すべきワクチンで、ノンコアワクチンは、それぞれの生活環境に合わせて接種を検討すべきワクチンです。
以下の表で、それぞれの疾患の分類と代表的な症状についてご紹介します。
〇犬のワクチン
◯猫のワクチン
- ワクチン接種時の注意点
- ワクチンは、体調が万全なときに接種しましょう。
- ワクチン接種後、稀にアナフィラキシー反応やアレルギー反応が起きてしまうことがあります。ワクチン接種後は安静に過ごし、体調の悪化がないかをしっかりチェックしてあげましょう。
- まとめ
ワクチン接種は、愛犬・愛猫の健康を守るために欠かせないものです。感染症から身を守るだけでなく、他の動物や人への感染源となってしまうことを防ぐためにも重要です。大切な家族の健康のために、適切な時期にワクチンを接種しましょう。
ワクチンのことでお困りのことがございましたらいつでも当院スタッフまでご相談ください。
獣医師 小野・菊竹
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 |

