パル日記
獣医師コラム★第15回『犬の外耳炎』
少し投稿があいてしまいました😢今回は中武が担当いたします!
梅雨~夏に増える「犬の外耳炎」にご注意!
ジメジメと湿気の多い梅雨から夏にかけて、ワンちゃんの「外耳炎」のご相談が増えてきます。
外耳炎は、放っておくと慢性化し、強い痛みやかゆみを引き起こすこともあります。
今回は、外耳炎について詳しくご紹介します。
■ 原因
外耳炎は、さまざまな原因が重なって起こることが多く、慢性化・再発を防ぐためには
「原因・素因・増悪因子(維持因子)」をしっかり見極めることが重要です。
ここでは、PSPP分類*に沿って外耳炎の主な原因を解説します。
(*PSPP分類とは外耳炎を引き起こしたり、悪化させる要因を4つのカテゴリーに分類したものです)
☆P(Primary cause 主因)
外耳炎を引き起こす直接的な原因です。
• アレルギー性皮膚炎(アトピー、食物アレルギーなど)
• 外部寄生虫(耳ダニなど)
• 異物混入(毛、草の種など)
• 角化異常症(脂漏症など)
• 分泌腺の異常
• 内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)
• 免疫介在性疾患
☆S(Secondary cause:副因)
一次的な原因で耳の環境が悪化したところに、後から増殖して炎症を悪化させる微生物などです。
炎症の進行を助長し、悪化や慢性化の一因になります。
• 細菌感染
• マラセチア(酵母菌)感染
☆P(Predisposing factor:素因)
外耳炎を起こしやすくする「体質的・構造的な条件」です。
外耳炎の発生リスクを高める因子です。
• 垂れ耳や耳道の狭さ
• 過度の湿気・高温環境
• 閉塞性病変(ポリープ、腫瘍など)
• 多毛や過剰な耳毛
☆P(Perpetuating factor:増悪因)外耳炎が起こった後に発生する耳の構造上の変化です。
外耳炎をより重症化させうる因子です。
• 耳道の腫れや肥厚、狭窄
• 鼓膜の変性・破れ
• 耳垢腺の過形成
■ 症状
以下のような様子が見られたら、外耳炎の可能性があります。
• 耳をよくかく・こすりつける
• 頭を振る
• 耳が赤くなっている
• 黒っぽい耳垢が出ている
• イヤなにおいがする
• 耳を触られるのを嫌がる(進行して痛みがある場合)
■ 検査
外耳炎の原因を突き止め、適切な治療を行うために以下のような検査を行います。
•耳鏡(じきょう)
•ビデオオトスコープ(VOS)
耳道の状態を確認します
↑耳鏡
↑ビデオオトスコープ(VOS)
VOSは従来の検査では見えにくかった耳道の奥まで鮮明に確認できます。
また、お手入れ後の状態もその場で確認できるため、ケアの効果を視覚的に確認できるのも
大きな利点です。
↑処置前

↑処置後
•耳垢検査
顕微鏡を用いて耳ダニ、細菌、マラセチアがいないか確認します
↑耳ダニ

↑マラセチア

↑細菌
必要に応じて↓
•アレルギー検査
•血液検査(内分泌疾患の有無)
■ 治療
原因に応じて、以下のような治療を行います。
• 耳の洗浄(専用の洗浄液で耳垢や汚れを除去)
• 点耳薬(抗菌薬・抗真菌薬・抗炎症薬など)
• 飲み薬(炎症が強い場合や全身的な治療が必要な場合)
■ 最後に
外耳炎を予防するためには、日頃からの耳のチェックとケアが大切です。
ご自宅で耳掃除をする際、見えない奥の方まで掃除しようとすると耳道を傷つけてしまい、
かえって逆効果になることがあります。
そのため、家庭でのケアは見える範囲の汚れを軽く拭き取る程度にとどめましょう。
また、病院での定期的な耳のメンテナンスも併せて行うことをおすすめします。
耳のトラブルを予防して、これから湿気の多い梅雨や暑い夏を乗り切りましょう。
獣医師 中武
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