2018.06.28
最近えげつない手術が多く(いまどきに言えばはんぱない手術でしょうか(>_<))、なかなかブログで紹介できるような患者さんがいないのが悩みの種でした。
が、手術依頼症例で先週無事にフォローアップになった患者さんがいらっしゃったので紹介します。
右太ももにできた軟部組織肉腫です!長さは13㎝、厚みは8㎝ぐらいあります!
(ちなみに術後重さを測ったら500gありました…..)
がんばってコレを摘出していきます。
ちなみにここまでがんが大きくなるには当然、がんに栄養を運んでいた動脈がおっきく発達しているわけで、当たり前ですが大量の術中出血が予想されます(>_<)
今回も当たり前ですがものすごく出血しました。いつもの手術画像の3倍は出てますので、血が苦手な方はけっして手術画像をみないようにお願いします!
切る端からドーッと流れてくるので、切開、止血、切開、止血の無限ループになります。
ちなみに一番大きいがんの栄養血管(動脈)は、いちばん真下にありました。がんを全部摘出しない限り止血できないパターンです。
モノポーラーの電気メス、バイポーラーの電気メス、止血鉗子、ガーゼを駆使しながらの手術になります。出血が止まらない時の佐伯教授もこんな思いをされとったんでしょうねえ
(いつまでブラックぺアンを引きずっているのだ)
摘出後の画像です。
画像で見てもガーゼ類が恐ろしい程血に染まってますね。
ちなみに止血鉗子で止めているのが動脈です。ちゃんと結紮してぺアンは残してませんのでご心配なく<`~´>
これだけのがんを摘出すれば当然、術後の皮下しょう液も大量に出ます。
術後10日ほどは液の排出がたいへんな状態でしたが、3週間後の全抜糸の時にはたいへん綺麗になりました!良かったです。
今回のがんはいろいろ事情があって、発生から1年以上経過しての手術でしたが、ここまでの大きさにも関わらず軟部組織肉腫グレード1という遠隔転移の少ないタイプでした。以前は血管周皮腫とか神経鞘腫とか言われていたがんにあたります。
マージンプラス(手術によるがんの取り残し)があるとそこからまた再発してきやすいタイプなので、小さいうちになるべく大きく切除するのが根治への一番の近道になります。
また腫瘍の細胞診でも診断がつきにくいタイプで、(脂肪腫との区別はつきますが)炎症との区別がつきにくいので、どんな腫瘍でも最初小さかったのに1センチを超えて大きくなってきたら、もしくは最初見つけたときの大きさから1センチ大きくなったら必ず獣医師に診てもらうことをおすすめします。
できればこのヒトのお世話にはなりたくない(>_<)
フルフル
2018.06.25
2018.06.22
皆さんは医療ドラマはよくみられますか?
私はあまりドラマは観ないのですが、白い巨塔(唐沢さんと江口さんの出演していたやつ) A LIFE 医龍 ドクターXは観ていました(とくに後半ふたつは原作の漫画をよく読んでいたので、ドラマ化をとても楽しみにしていました)
今週末で最終回にはなってしまいますが、日曜日のブラックぺアンもとても楽しみに毎週見てます!
↑上の高階先生の手術画像ですが、左側に心臓のイメージが映し出されているのがお分かりですか?
外科の先生って、CTやレントゲン、エコーで検査した画像を総合して頭の中で組み立てて、それをもとに手術するべき箇所やそこまでのアプローチをシュミレーションしながら手術してるんだよっていうのが良く分かる映像です。
またドラマのあちこちでお医者さんたちが一所懸命勉強したり、論文調べたり、手術のシュミレーションしていたり、手術用糸を結紮練習したのが椅子の背に無数に結ばれていたり、壁一面に貼られた手術計画書を見ると頑張ってるなあ、とても!!って共感します。
あくまでドラマはフィクションで作りものなのですが、その中で目の前の患者さん、未来の患者さんを救おうと懸命になっている姿はたいへん尊いものです(^。^)y-.。o○
まったくもって余談ですが、渡海先生役の嵐の二宮さんの演技は本当にすごいですね(゜o゜)
左利きと伺ってますが、ドラマの中での役は右手で手術されていました。
私が左手で結紮や縫合ができるようになるまでには何年練習しないといけないことでしょう(;一_一)
私はジャニーズファンではないのですが、二宮さんの演技はとても素晴らしいのでよく注目してます。ちなみに私の中での二宮さんの二番目に好きな役が今回のブラックぺアンの渡海先生♡で、いちばん好きな役が
↓ 映画『暗殺教室』のコロ先生です♡ (とても同一人物には見えない(>_<)
フルフル
2018.06.21
最近雨ばっかりで憂鬱な日が続きますが、お休みの日はもっぱら猫とお家で引きこもってる柘植です。
はやく夏がきてほしいものです。
さて今回はネコちゃんのおしっこの病気についてお話します。
猫を飼っている方の中で
『あれ?今日のトイレはやけに長いな』『さっきもトイレにいったのに、またトイレにいってるぞ?』そんなふうに思ったことはありませんか?
慌ててトイレの中をみたら、おしっこがちょっとしかでていなかったり、血尿であったり、そんなことを経験された方も少なくないはずです。
猫のおしっこの病気にはさまざまな原因が考えられ、おおきくわけて以下の5つに分類されます。➊感染症 ❷尿石症 ❸腫瘍性疾患 ❹先天性疾患 ❺ 1~4にあてはまらない血尿や排尿困難
実は、猫の下部尿路疾患において❺が全体の60%をしめているともいわれており、最近ではFIC:Feline Urologic Syndrome 特発性膀胱炎といわれています。
今日はこの猫の特発性膀胱炎についは少しお話をします。
特発性という言葉が示す通り、原因は不明といわれています。しかし、ここ最近ではこの病気に対する研究も進みいくつかの可能性が示唆されるようになってきました。
膀胱粘膜の機能障害、免疫学的な原因、そしてストレスとの関連性。
特に音に敏感な猫はFICになりやすいともいわれています。ここで考えてみてください。ご自分の猫はどんなことが苦手でしょうか?ストレスを感じていそうですか?ほかの猫と比較して何かに敏感だったりしませんか?
FICの主な症状としては、頻尿、不適切な場所での排尿、排尿痛、血尿などです。特に、男の子は尿道内にタンパク質の塊(尿道栓子といいます)ができてしまい、おしっこが全くだせなくなることがあります。おしっこがだせなくなるというのは、とても大変なことです。単なる膀胱炎と思われるかもしれませんが、命にかかわります。
治療としては、まず原因となるストレスの除去です。
原因となるストレスの除去、環境の改善とともに、飲水量の増加、内科治療(痛み止め、抗不安薬、抗痙攣薬etc….)、食事の変更などを行っていく必要があります。(詳しくは獣医師に)
今回、ご紹介した特発性膀胱炎(FIC)ですが、特効薬もなく、治療は長期にわたりさらに再発もよく認められる、いやーな病気です。症状にも気づきにくく、重症化すると命にかかわります。治療においては、原因となっているストレスが何なのかを飼い主様が把握することがカギです。治った後も、『治ったから大丈夫!』ではなく、猫が少しでもストレスを感じないような環境づくりをしっかり考えていきましょう。気になることがあれば、気軽にスタッフにお尋ねください。
1日1回はペットシーツの確認をするようにこころがけています。
本人はのぞかれて不服そうですが・・・・・
(1歳 ♂ おび)
獣医師 柘植
2018.06.16


2018.06.13
2018.06.09
こんにちは!
獣医師の池田です(^^)
前回は女の子の避妊手術についてお話したので、 今回は去勢手術についてお話します。
〇去勢手術ってどんな手術なの?
陰嚢(精巣が入っている袋)から精巣を取り除く手術です。
〇去勢手術すると何がいいの?
精巣の病気や精巣で作られる男性ホルモンが引き起こす病気を予防することができます。
〇避妊手術のように早いうちからした方がいいの?
精巣が原因となる病気の発症は多くが中高齢です。そのため、若いうちに手術をしてあげるのが理想的です。
〇傷口はどれくらい?
わんちゃんの場合は大きさによりますが、1.5cm~4cm、ねこちゃんの場合は1.5cm程です。
〇手術のあとの過ごし方は?
基本的には女の子と同じですが、男の子の場合はお腹を開ける手術ではないため、手術の当日におうちに帰れます。
おうちではお洋服もしくはカラー(男の子の猫ちゃんはカラーのみになります)をつけてもらい、術後10日程で抜糸になります。
基本的には以上のような流れで去勢手術は進めていきます(^^)
例外的に一部のワンちゃんでは成長しても陰嚢に精巣が降りてこない潜在精巣(陰嚢)が見られる子がいます。その子達はまた違う手術方式になります。詳しくは[当院で出来ること]の去勢手術に関する欄をご覧ください。
女の子の避妊手術と同様、一生に一回の手術です。今後のことも視野に入れ、一緒に考えていきましょう(^^)
獣医師 池田
2018.06.06
こんにちは、秋永です。
この度、6/20で退職させて頂くことになりました。
まるっと12年勤めさせていただきました。
本当にあっという間の12年で、気付けば31歳になっていました・・・(^◇^;)
パルとの出会いは私が11歳の時です。
先代のハスキー犬、セナと一緒に診察に来たのを覚えています。
小学校の飼育小屋の動物や、保護した猫などいろいろな動物がお世話になったのもよく覚えています。
中学生の時の職場体験でパルに来た時も、避妊手術の見学をしたり、ちょっとわがままを言って最終日に診察時間が終わるまでいさせてもらったりしました(笑´∀`)良い子は真似しちゃダメですよ!
パルに就職してから経験した、いろいろな出会い、そして別れ。
好きな仕事も楽しいことばかりじゃないと身をもって知りました。
自分自身の力不足や知識不足に、何度も悔しい思いをしました。
院長、スタッフ、そして患者様。
皆さんに支えられた12年間でした。
天職だね、と言って下さって、本当にありがとうございました。
パルで過ごした日々は私の中でずっとずっと宝物です。
本当に、本当にありがとうございました。
秋永
2018.06.05
今年もフィラリア予防の季節が来ましたね。
まだ、予防を開始していない方にはしっかり予防しよう。と思ってもらえるように。
もうすでに予防を開始している方には復習の意味を含めて簡単にまとめます。↓
【フィラリア】
正式名称で犬糸状虫といい、犬科の動物の他に猫や牛などにも寄生が確認されています。名前の通り糸状の長細い形態をしており、最終寄生部位は心臓、特に右心室や肺動脈と呼ばれる場所に寄生します。
【症状】
元気食欲の低下、咳、血尿(正式には血尿ではなく血色素尿といい赤ワイン色)、腹水の貯留など多岐に渡ります。フィラリア症の症状は、少ない数の寄生でも死に至る場合(以下に説明)や、たくさん寄生している場合でも症状がでないケースなど様々です。
また、フィラリア症の一番怖いケースは大静脈症候群(vena caval syndrome)と呼ばれるもので、右心室・肺動脈に住みつく成虫が右心房に移動すると起こる症状で、循環不全に伴う急激な元気食欲低下(虚脱状態)、腹水貯留、呼吸促拍などがおこります。
この状態まで陥ると、手術による虫体の摘出(アリゲーター鉗子という特殊器具を使います)しか方法がありませんが、麻酔リスクが非常に高いことなどにより周術期に亡くなってしまう可能性がかなり高いため、難しいケースが多いのが現状です。
これらの症状にならないためにも、予防が必要になります。予防にあたって、初めに感染の有無を調べる必要があります。仮に感染していた場合、予防薬を投与すると虫体の死滅により肺に虫体が詰まってしまったり(塞栓症)、ショック症状に陥ることがあります。ここでいう予防薬とは、フィラリア幼虫に対する治療薬(抗寄生虫薬)にあたり、蚊に刺されることで侵入してきたフィラリア幼虫を殺虫するためのお薬で、成虫にさせないことが目的です。
この予防薬も侵入後1ヶ月以上たつと幼虫に対しての効果が認められなくなるため、予防が1ヶ月以上抜けてしまった方には次年度成虫の有無を確認する必要があります。
フィラリアは予防を抜け目なくしっかりしていれば感染しない病気とされているので、室内外問わず、しっかり予防していきましょう。
また、猫のフィラリア症も多数報告されています。犬と違い血尿などの特徴的な症状がありませんが、HARD(犬糸状虫関連呼吸器症候群)と呼ばれる病気があり、猫喘息と症状が類似しているといわれています。猫の場合、成虫になり心臓にすみつく割合が犬と比べてかなり低いことと、検査キットによる検出が一般的でないため、感染しているかどうかの確認は難しいのですが、犬同様に感染してしまい、症状が強く出ると死に至る場合も多いです。
そのため、猫ちゃんにおいても予防の意識をしっかりもち、毎年の予防を心がけるようにお願いいたします。 獣医師 大塚
2018.06.03