2018.10.28

2018.10.26
今日は久しぶりに本業(?)の腫瘍外科のお話です。
しばらく手術症例の投稿ができていなかったのですが、最近、お盆前からずーーーっと治療していた子がようやく治療終了になったのでご紹介させていただきます!
ちょうど長崎の日でしたか、前日急に倒れて虚脱状態、呼吸困難で来院された8歳9か月のわんちゃんの胸部レントゲンがこちら ↓ (すいません、画像が左右反転してます。右側がこの子の頭側です)
胸部レントゲンだというのに心臓が見えず、気管も背中側に押しやられていてなにやら真っ白な影が画面いっぱいに広がっています。
エコー検査を行うと心臓の頭側に大きな腫瘤が見えました。すぐに針生検を行ってこの子の胸部の腫瘍は胸腺腫の疑いが出ました。が、これだけ巨大だとすぐに外科摘出を行うのは大変危険です。
胸腺腫には安全に摘出可能かどうかのガイドラインがあり、あまり大きすぎる場合は(日本に一桁しかいらっしゃらない超凄腕腫瘍専門医以外は)外科適応ではなく、放射線治療や内科治療の適応になります。
ちょっと見にくいですが、この子の胸腺腫の状態を客観的に測定したものがこちら↓↓
スコアは45点中37(数値が小さい程状態が良い)で今の段階では手術不適応レベルです(>_<)
すぐに外科手術できない理由はもうひとつあります。
大きな胸腺腫があるために血液中のカルシウムの値が高くなって虚脱状態になったり、心臓の動きに影響が出たり、重症筋無力症という病気を引き起こしてる場合がとても多いのです。
このわんちゃんの場合も来院時倒れて呼吸ができにくい状態でしたのでまずは内科治療から始めました。
酸素室に入院していただき点滴と治療を開始すると、翌日には虚脱状態から立ち上がれるくらいまで回復しました。
そのまま盆明けまでねばったところ胸腺腫スコアも8日間で37点から21点まで下がり手術適応ギリギリレベルまで改善できました!
下の左側が8日目のレントゲンです。正常な黒っぽいところが増えてきているのがお分かりかと思います(右に比較のため初日の左右反転しているレントゲンを載せています)
無事に酸素室から出ることができたので、その後は退院し、ご自宅での内科治療をがんばっていただいて2か月後、根治治療のために外科手術で胸腺腫を摘出させていただきました。
手術当日のレントゲンとCTです
3D-CTにしてもらうとこんなかんじ↓↓(緑が腫瘍 赤が心臓と大血管です)
腫瘍の大きさは心臓よりひとまわり大きいぐらいでしょうか?
蜘蛛の巣のように腫瘍に血管がまとわりついてます。この血管は胸腔内の大きな動脈や静脈から分岐してきているので術中操作を間違うと破裂して大出血を引き起こしかねません。というわけで術中はこの血管を剥離して確実に止血していくのにいちばん苦労しています(>_<)
これだけ腫瘍が大きく前胸部にある場合は胸の正中、胸骨を縦切開してがばっと大きく胸腔を開いて腫瘍を摘出します。(開胸しても腫瘍が大きすぎて心臓肺が見えてきません↓)
これは腫瘍がとれたところ。
時間はかかりましたがキレイに摘出できました。手術は大変過ぎて久しぶりに足腰ガタガタにはなりましたが…
術後の出血も少なく、痛みのコントロールも良好だったため順調に回復することができましたヽ(^o^)丿
補足ですが、胸腺腫は小さいときはまったくの無症状です。巨大になるまでほぼ症状が出ないと言っていい腫瘍です。健康診断をマメにしていればどこかで引っかかってくる可能性はありますが、それ以外では腫瘍が小さいうちに発見することはまず不可能だと思っていただいてもいいと思います。
また胸腺腫はたいへんえげつない大きさに成長し重篤な症状がでますが、そのほとんどは良性の腫瘍です。
早いうちに外科摘出することで完治が望める腫瘍のひとつでもあるということを知っていただくとうれしいです。
フルフル
2018.10.21


2018.10.20
2018.10.13
10月恒例(^。^)y-.。o○ハロウィーンの飾り付けです♡
今年はお外の掲示板、待合室の水飲み場、4番診察室のガラスの外から見えるところをハロウィーン仕様にしてみました。ホントはお外のレンガの壁のところに作りたかったのですが、台風が何回も来るのでそちらは断念。
クリスマスには外にも飾りをがんばって作ってみようかな…
これは外掲示板☆
4番診察室外からの眺め♡ ちょっとホラー(>_<)
ちなみに材料はほぼ100円均一商品と段ボールとお菓子のお菓子の包装紙です(゜o゜
またスタッフ有志からかぶりもの類、コスプレグッズもたくさん譲っていただきましたので、飼い主さんもわんちゃんネコちゃんも待ち時間などにぜひハロウィンコスプレをどうぞ♡
水飲み場周辺にまとめておいてますので、パル敷地内、駐車場内までなら持って行って(飼い主さんもぜひ!)着飾ってみてください。↓↓↓
着用例は以下のとうりですヽ(^o^)丿
↓↓この帽子とマントはけっこう着用しやすいので、ぬいぐるみさんから脱がして使ってみてください♡
いつもブログ記事書くときはパル写真班部隊に画像提供を協力をしてもらってるのですが、今月で隊員の若杉さんが卒業することになりましたTAT 寂しいですが、次の夢に向かって頑張って♡
フルフル
2018.10.11
こんにちは。最近、わが子の老いを実感している片岡です。
体調不良や寝ている時間が多くなった気がします。
みなさんは今回の記事の題名にもなっている「ロコモ」をご存じでしょうか?
私が最初に聞いた時には「なにそれ。美味しいの?」と思ってしまいました。
お恥ずかしい(´・ω・`)
ロコモとは「ロコモティブ・シンドローム」の略称であり、運動器症候群といいます。
骨や関節、筋肉、神経などの体を動かす運動器(ロコモティブ)の機能が低下してしまい、
要看護や寝たきりになる危険性が高い状態のことをいいます。
できることなら予防しておきたい状態ですよねΣ(゜д゜
わが子は今年で14歳になります。8kgくらいなので、寝たきりになっても看護できるだろう。
と思っていましたが、ワンちゃんのことを考えると寝たきりにはなりたくないですよね・・・
わが子を寝たきり状態にさせないために若いうちから、もしくは動けるうちに動いておき
健康な運動器の状態を保ってあげたいと思っています!
若い頃と比べると歩きもゆっくりで距離もずっと短くなりましたが、
家の中では猫を追いかけて走り回りますし、定期的な健康チェックで骨に異常がないことは確認できています😜
健康寿命で生涯現役!!目指すは死ぬまで自力でしたいことはできるような体つくりです!
高齢のわんちゃんやネコちゃんを飼っている方には少しでも気になる話題になったでしょうか?
もし、気になることがあればスタッフにお尋ねくださいね。
ただいま、シニアキャンペーンも実施中なのでこちらも参考にされてみてください😉
2018.10.07


2018.10.05




2018.10.04
今年もノーベル賞の季節がやってまいりました!
嬉しいことに今年の医学生理学賞はチェックポイント阻害剤の生みの親、本庶教授が受賞されました♡
2月の獣医がん学会のブログにもちょこっとだけ書きましたが、チェックポイント阻害剤というのは、狡猾な癌細胞ががんを攻撃する生体の免疫機能にストップをかけてがん細胞自体が壊されないようにしているシステムを解除する薬です。
抗がん剤でも放射線治療でもなく、患者さんみずからのがんを攻撃する免疫機能自身ががんを治療するという、今まで誰も考えなかったすばらしい治療法です。
ヒトでは悪性黒色腫(メラノーマ)や肺がんなどの治療に使われつつあります。
たいへん高額な治療でもあり、また出てくる副作用も結構な物なのでわんちゃんへの適応は悩むところですが、今後ジェネリック等出てきたら考えたい治療のひとつでもあります。
そしてノーベル賞の時期になると楽しみなのがコレ。イグノーベル賞(^○^)
『笑い、そして考えさせられる』業績に対して贈られる賞、というのがコンセプトで、ノーベル賞のパロディみたいなもんです。12年連続で日本人が受賞しているということでも話題になってます。
今年の医療教育賞は昭和以南総合病院 内科診療部長・消化器病センター長 堀内朗先生です♡
受賞内容は大腸内視鏡検査の手技方法の検討なのですが…..先生曰くこの方法がいちばん痛くないと….
なんと!!先生みずから自分で自分の大腸に内視鏡入れて検討されたそうです!!
上の受賞スピーチは会場中の大爆笑をさらってましたが、大腸内視鏡の患者さんへの苦痛を最小限にするためにとても一生懸命考えられた研究だと思います。
フルフル