パル日記

2018.02.19

猫ちゃんの線維肉腫

2月に入ってすっかり寒くなり、雪も積もっているところをちらほら見かけるようになりました。寒いのが苦手で福岡の気温にまだまだ慣れていません。~_~;

 

今日は、大腿部にできた線維肉腫摘出のために断脚手術を行い、その後の抗がん療法を頑張っている7歳のメインクーンの猫ちゃんです。 この猫ちゃんは、大腿部の尾側に大きな腫瘤が認められ、外科的摘出のためにCT検査を行ったところ、こんなに大きくなっていました。

診察に来られた際に細胞の針生検を行っており、この際に間葉系細胞が採取され、軟部組織肉腫が疑われていました。猫の軟部組織肉腫は、特に線維肉腫と呼ばれる悪性腫瘍の発生率が高く、治療がとても難しい腫瘍の中のひとつです。

腫瘍の部分だけを切除しても再発率がとても高く、再手術となるとさらに難易度が上がるため、1度目の手術で腫瘍の周囲を幅広く切除しなければなりません。上のCT画像を見てわかる通り、腫瘍周囲の切除は困難ということで、断脚手術を実施しました。

手術直後の様子と術後54日目の様子です。

しっかり毛も生えて術創も分からないぐらいです。実はこの猫ちゃん、CT検査時に肺への転移も認められていましたが、QOL(生活の質)の改善目的で断脚手術を実施しました。

現在は、肺への転移病巣に対しての抗がん療法も実施しており、次回が第2回目の予定です。線維肉腫は抗がん剤も効きにくいですが、少しでも何かできる手立てがないかということでドキソルビシンという抗がん剤を用いて、抗がん療法を頑張っています。現在のところ副作用も認められておらず、元気に日々を過ごしています。少しでも元気な姿で長生きできるようにサポートしていきたいと思っています。

獣医師 大塚