パル日記

2015.09.14

鼠径ヘルニア(メッシュ法による整復)

今回は鼠径ヘルニア(重度)の患者さんのお話です。

患者さんは小柄で可愛いカニンヘンダックスのチェリー君です。
昔からの患者さんで何か症状があればすぐ来て下さる方なのですが、今回はちょっと大事でした(>_<)
『急にお腹がふくらんできて……』
と診せていただくと、下腹部に膀胱と前立腺が脱出してきています(ToT)/~~~

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これはヒトの脱腸とよく似た病気で、腹筋の隙間が緩んでそこからお腹の中の脂肪や臓器が外へ脱出してしまう鼠径ヘルニアという病気です。
主に去勢していない中高齢の男の子に多いですが、女の子もなります。女の子は子宮が飛び出してくることが多いです。

チェリー君はお父さまのお考えで今まで精巣を残していたのですが、今回ばかりは命を救うために決断していただかないといけません。緊急家族会議を開いていただいて即日手術になりました。

手術法は、膀胱と前立腺をもとの位置に戻して腹壁を再建し、大きくなりすぎた前立腺をもとの大きさに戻すために精巣摘出を行います。またちょっと会陰ヘルニア気味でもあったので、膀胱・前立腺脱出予防の為に、輸精管を利用した膀胱腹壁固定術を行いました。
この子の手術は当院でできることの一般診察でも紹介していますのでそちらもご覧ください。

ちなみにちょっと紛らわしい言葉が出てくるので解説デスヽ(^o^)丿

 

ヘルニア=本来あるべきものが、ありえない部位に出てきてしまったもの
       出てる部位、モノで名前が変わる
例えば
 脊椎と脊椎の椎間から脊髄神経腔へ椎間板が脱出=椎間板ヘルニア
 鼠径部に脂肪や膀胱、子宮、腸が脱出=鼠径ヘルニア
 会陰部に(同上)=会陰ヘルニア
不思議なのは好発犬種がいずれもダックスやコーギーだということです(ToT)
意外と柴犬や日本犬雑種もなりやすいです。

というわけでチェリー君の手術です。めっちゃ不安そうなお顔(>_<)

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ここから先は殿方はあんまりみないほうがいいかもです。男の人にとっては衝撃画像なので。
途中手術を見に来た院長が『これでホントにおちんちん大丈夫なの!!?』と、聞かれてましたし…
(もちろん大丈夫ですが…..)
画像は基本、左が頭側で右が尾側になっています。途中、おちんちんをはがしてびろーんと尾側に反転させたりしてますので位置関係がちょっと分かりづらいかもしれません。

こんなふうに大胆に切皮していきます。

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びろーんとはいだところです。ここで左右足の付け根から鼠径にかけての筋肉がはがれているヘルニア門を探していきます。

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案の定、筋肉が薄くペラペラで縫い合わせてもすぐ破れそうな不安定さだったので、ヒトの手術にも使用するメッシュを使用してヘルニア門を閉じていきます。このメッシュは胸壁や腹壁が何らかの理由で失われてしまったときの再建にも使用できる優秀なヤツです。

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このまま閉じてしまうと皮下に大量の液体が貯まって皮膚がくっつきにくくなるのでアクティブドレーンを設置します。

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点滴、鎮痛点滴、廃液用アクティブドレーン、尿道カテーテルのフル装備ですヽ(^o^)丿
一見おおげさすぎる感じがしますが、ここまで気を使って傷と体を保護してあげると術後の回復がとてもいいです。抜糸後もキレイ!無事、もとの可愛いチェリー君に戻りました(^。^)y-.。o○

詳しくはこちらをどうぞ→鼠径ヘルニア

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フルフル