パル日記

2012.11.15

免疫介在性溶血性貧血

こんにちは!お久しぶりです_(._.)_。獣医師の宮本です。 

 

今回は血液の病気の中でも救急疾患の“免疫介在性溶血性貧血(IMHA)”について紹介したいと思います。 

IMHAとは、自分自身の免疫が自分自身の赤血球(血の成分)を破壊してしまう病気のことで、重度の貧血や

黄疸を起こし、ひどい場合は亡くなってしまう病気です。原因としては、薬や感染などがあげられますが、

その子の体質で起きてしまうこともあります。

 

治療としては、ステロイド剤や免疫抑制剤などで免疫を抑えてあげることがメインになりますが、

最初に言ったとおり救急疾患なので、その子の状態に合わせて治療を行なっていかなければなりません。

 

下の写真の子はミニチュア・シュナウザーの「ゆうたくん」で、嘔吐、元気食欲の低下で来院されました。

(写真は治療開始して3日目、ずいぶん元気になった頃です。)

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身体検査で黄疸、発熱、粘膜の蒼白が認められたため、血液検査をすると、なんとHct値(ヘマトクリット値、

血液の濃さのことです。)が17%とかなり貧血していて黄疸の数値も普通の子の何倍にも上がっていました。

また、血液をスライドガラスに垂らしてみたところ、

 20121115212729.jpg

上の様にツブツブが出来ていました。これは“自己凝集”といってこの病気で起こる典型的な血液の変化です。

普通はこんな感じです。比べてみるとよくわかりますね。

 DSC_0430.jpg

 

さて、ゆうたくんは、最初の危機的状況を脱した後みるみる回復していき、現在は免疫抑制剤と補助的な薬のみで

維持しています。ほんとに元気になりました!お疲れ様。これからもよろしくねSmile

 

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