パル日記

2016.11.10

トキソプラズマ感染症:赤ちゃんと猫を守るために知っておきたいこと

来月から早いもので後輩の前田先生が産休に入りますヽ(^。^)ノ
今年から去年にかけてはパルスタッフ、出入りの業者さん、友人、飼い主さんたちが出産ラッシュで可愛い赤ちゃんのお顔をたくさん見せて頂いて嬉しい限りです。

自分は子供いないのですが(ていうか旦那もいませんが)弟たちや甥の子守をしてたこともあってけっこうな子供好きです♡待合室で患者のわんちゃんやネコちゃんと仲良くわちゃわちゃしているしている子をみるのが大好きです(^。^)y

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そんな可愛い子供たち、赤ちゃんに関する重大な人畜共通感染症、トキソプラズマのことを皆さんはご存じでしょうか?
つい最近、新聞の医療コラムに2011年に先天性トキソプラズマ症の赤ちゃんを出産した方の記事が載っていました。この方は妊娠初期の生肉食が原因と考えられてます。
びっくりしたのはこの出産されたお母さんが医療機関に勤めていたことがあった方だったこと。

人間の医療では(お医者さんでも)意外にも人畜共通感染症についてあまり詳しくない方がいます。
妊娠中の産婦人科の講習でもあまり詳しくは伝えられてないのではないでしょうか。

獣医師はもともと、自分のような小動物(犬猫うさぎなど)の診療のほか、大動物(牛馬豚羊など)、食中毒や食の安全を守る公衆衛生、製薬会社、検疫、厚生省や農水省職員、など、人間と動物両方の役に立つ仕事をするための教育を大学で受けるので、人畜共通感染症に関する知識はイヤというほど叩き込まれます。

今でもトキソの話題になると感染源として猫が悪者扱いされますがこれは大きな間違いです(>_<)
トキソの主な感染源は、感染の可能性の高いものから
①妊娠中に生肉食べること
②ガーデニング
③はじめてトキソプラズマに感染したばかりの猫の糞 です。
室内でずっと飼っている猫ではトキソプラズマに感染する機会は無いので、まず感染源とはなりえません。
人間に関して言えば、昔は自然感染で抗体持っている人間が3割ほどいたのですが、現在では人間の抗体保有率は1割程度なので、抗体を持ってない女性が妊娠中にトキソプラズマに感染すると胎盤を通じて赤ちゃんにも感染して目や脳に障害が出る先天性トキソプラズマ症になる可能性があります。

これはトキソプラズマの画像。
もちろん肉眼では見えない大きさです。右ふたつが感染力のあるシスト(食肉中にこの状態であることがある)とオーシスト(糞便中の状態)です。
いちばん左端の状態(タキゾイト)では感染力はありません。

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雑誌にいくつか猫と人への注意事項が載っていたので、下に挙げときます。

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猫も現在では全体の5%ほどしか抗体を持っておらず感染しやすい状況になっていますので、手作り食で生肉を与えていると感染させてしまう可能性があるので、鳥であってもラムであっても馬でも絶対に生肉を与えないようでください。特にジビエ(野生動物の肉)は厳重注意です。
外出させたり、野生のネズミや鳥を捕まえて食べることもできたら避けたいところです。

あと最後にもうひとつ。
よく妊娠すると周囲から『猫を手放しなさい』と言われることがありますが、それは間違った知識です。猫を手放すなんて妊婦さんにとっても、猫にとっても、家族にとっても悲しいことでしかありません。猫や犬と一緒に幸せに成長している子供たちは世界中にたくさんいます。小さな家族を守るために、正しい情報を知っておくのはとても大事なことだと思います。

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