パル日記

2012.06.08

獣医師はブルドックの手術嫌い?!

今回の症例は、オスのブルドックくん。

 

他の2つの病院で、去勢手術を断られ、当院に相談に来られました。

断られた理由は、 ブルドック だから。・・・・?

飼い主様は、より詳しい説明を受けておられませんでした。

もう少し詳しい説明をする病院の断り方は、麻酔 が・・・。

では、なぜ獣医師はそれらのような理由を口にするのか。説明します。

 

ブルドックだけでなく、短頭種とよばれる”はなぺちゃ”さんは生まれつき鼻の穴、のどの奥の

構造が狭く、体格に比して、肺の領域が小さく、呼吸のために空気を吸ったりはいたりするの

が得意ではありません。いつも努力して呼吸をしています。いびきなどはその象徴です。

 

麻酔という施術は、麻酔薬を用いて動物さんの意識をなくして、手術などの痛みを伴う施術に

おいて痛みを感じさせないという役割を果たします。

ただ、麻酔薬は動物さんの心臓系、呼吸系を抑制してしまう側面を併せもっています。

これが、麻酔のリスク(危険度)と呼ばれるものです。

 

前述のように、ブルドックなど短頭種はもともと呼吸をするのが不得意なので、麻酔のリスク

増えることになります。

この事実を獣医師はみんな知っています。

そして、去勢手術が技術的にリスクの低いことも知っています。

 

リスクの高い麻酔/リスクの低い手術  失敗しやすい/責任重い と獣医師は考えます。

 

 

これが、2つの病院がブルドッくんの去勢手術を断った本音です。 

 

さて、当院は。

この子の、去勢手術を担当させていただきました。

 

ブルドックなど短頭種は、少し詳しく説明すると、外鼻孔狭窄・軟口蓋過長・喉頭虚脱・

喉頭囊外反などの基礎疾患を潜在させていることがよくあります。

麻酔の進行時にこれらの潜在疾患を注意深く見極め、必要に応じてその場で施術を行います。

今回はその必要性がなかったのでよかったです。

 

麻酔のリスクが高いと説明しましたが、本当は、麻酔後のリスクが高いのです。

麻酔からの覚醒時にいかに呼吸困難を招かないようにするかが最大のポイントになります。

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 術前・術後に酸素化:ICUという酸素濃度を調節できるお部屋に入ります。

更に、術前には、のどの腫れを防ぐ注射をします。

 

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人工呼吸機能をもった麻酔器で管理します。

 

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手術終了直後は体位に気を配ります。

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 スパンカーと呼ばれる別の人工呼吸器で、手術直後の不安定な呼吸状態を改善させます

この機械は本当に優秀です。

 

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覚醒したら回復室へ移動し、さらにしばらく付き添って様子を見ます。 

 

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術後30分、起立可能。

 

以上が、当院のブルドックをはじめとする短頭種への麻酔(前・中・後)の施術方法です。

きちんと対応する準備があれば、怖くないのに・・・

 

                                      院長