パル日記

2026.04.02

獣医師コラム★第20回『フィラリア予防』

皆さんこんにちは!獣医師の舘川と堤です。

今回は、春から予防が始まるフィラリア予防についてお話しします。

 

 

■フィラリアとは?

フィラリアとは、正式には 犬糸状虫と呼ばれる寄生虫感染症です。この寄生虫は蚊を媒介して体内に侵入し、血管内を移動しながら成長し、最終的には心臓や肺動脈に寄生します。

寄生が進行すると

・元気がなくなる

・咳が出る

・呼吸が苦しそう

・お腹が膨れる腹水

・尿が赤くなる(ヘモグロビン尿) など…

 

といった0症状がみられることがあります。重症の場合には心不全や突然死につながることもあります。

フィラリアは犬の病気と思われがちですが、実は猫にも感染する可能性があります。ただし犬はフィラリアにとって非常に生活しやすい「好適宿主」であり、成虫まで成長しやすいことが知られています。一方、猫はフィラリアの寄生率が低く、成虫が成長しにくい傾向がありますが、猫においてもフィラリアによるリスクは0ではないので予防を行うことは重要です。

 

 

■フィラリア予防の仕組み

多くの方は「予防薬=感染を防ぐ薬」と思われるかもしれませんが、実際のフィラリア予防薬は体内に侵入した幼虫を駆除する薬です。蚊に刺されたあとでも、約50日以内に投薬すれば予防が可能とされています。そのため、1ヶ月に1回の投薬を継続することで、体内に入った幼虫が成虫になる前に駆除することができます。

 

・予防のタイミング

フィラリアは蚊によって感染するため、蚊の活動時期に合わせて予防することが重要です。

一般的には蚊が出始めてから → 蚊が見られなくなった翌月まで予防を続けることが推奨されています。

以前は、フィラリア予防薬の投与期間はHDUに基づき、5月~12月が目安とされていました。しかし近年は気候変動の影響により、蚊の活動期間が長くなったり、地域やご自宅周囲の環境によって蚊の出現時期にばらつきが見られるようになっています。そのため現在では、より確実にフィラリア感染を防ぐために通年での予防を推奨する考え方も広がっています。

※ HDU(Heartworm Development heart Unit)

蚊の体内でフィラリアが成熟するために必要な積算温度の単位

 

・なぜ予防前に検査が必要なのか?

当院ではフィラリア予防を始める際、基本的に血液検査によるフィラリア検査を行っています。なぜなら、すでにフィラリアに感染している状態で予防薬を使用すると、体内にいる幼虫が一度に死滅し、ショック反応血栓形成などを起こす可能性があります。そのため、安全に予防を始めるためには、感染していないことを確認してから予防薬を使用することが大切です。

検査は血液検査で行い、5~10分ほどで結果が分かります。

 

・子犬のフィラリア予防について

フィラリア検査は生後6ヶ月以降でないと正確な結果が出ないとされています。 そのため、生後6ヶ月未満の子犬では検査を行わず、安全性の高い予防薬で予防を開始する場合があります。生後6ヶ月以降に検査を行い、陰性を確認してから予防を継続します。

 

 

■フィラリア予防薬の種類

当院では、さまざまなタイプのフィラリア予防薬を取り扱っており、ペットの性格やコストを含めて選ぶことができます。

 

① フィラリア+ノミ・マダニ+寄生虫予防ができるタイプ

<犬>

・ネクスガードスペクトラ(おやつタイプ)

・クレデリオプラス(錠剤タイプ)

・シンパリカトリオ(錠剤タイプ)

・レボリューション(滴下タイプ)

※レボリューションはマダニの予防は入ってません

 

<猫>

・ネクスガードキャットコンボ(滴下タイプ)

・レボリューションプラス(滴下タイプ)

 

② フィラリア予防のみのお薬

<犬のみ>

・イベルメックチュアブル(おやつタイプ)

・ミルベガード(錠剤タイプ)

・プロハート→ こちらは1回の注射で約1年間予防効果が持続するタイプのお薬です。

 

 

■最後に

フィラリア症は、感染してしまうと治療が難しく、命に関わることもある寄生虫感染症です。しかし、正しい時期に予防薬を使用することでほぼ確実に防ぐことができます。

春はフィラリア予防をスタートする大切な季節です。大切な家族であるワンちゃん・ネコちゃんを守るためにも、毎年しっかり予防を行いましょう。

予防薬の種類や投与方法など、気になることがあれば診察時にお気軽にご相談ください。

 

獣医師 舘川・堤