パル日記

2025.11.22

獣医師コラム★第19回『去勢手術と避妊手術』

🐾 こんにちは!獣医師の堤・本多です。

最近はすっかり涼しくなり、過ごしやすい季節になってきましたね。

ただ、昼と夜の気温差が大きい日もありますので、ワンちゃんやネコちゃんの体調管理には十分お気をつけください。

 

今回のコラムは「去勢手術と避妊手術」についてです。

当院では、主に生後6か月齢を過ぎてからの去勢・避妊手術をおすすめしています。

望まない妊娠の予防だけでなく、病気の予防や健康寿命の延長など、手術にはさまざまなメリットがあります。

以下では、それぞれの手術で得られる効果や予防できる病気についてご紹介します。

 

 

🐶 去勢手術のメリット

◆ 性ホルモンに関係する病気の予防

・睾丸の腫瘍(犬・猫)

セルトリ細胞腫、精上皮腫、間質細胞腫の3種類があり、多くは良性ですが、まれに転移することもあります。

特に潜在精巣(陰嚢内に睾丸が降りていない状態)では、発症リスクが通常の約10倍に上がるといわれています。

 

・肛門周囲の腫瘍

肛門周囲腺腫(癌)や肛門嚢アポクリン腺癌があり、悪性の場合は進行が早く、遠隔転移することもあります。

 

・男性ホルモンに伴う皮膚炎

犬では包皮から陰茎にかけて赤みや色素沈着が見られることがあります。

猫では「スタッドテイル(尾腺過形成)」と呼ばれる皮膚炎が起こり、尾部の赤みやベタつき、脱毛が見られることもあります。

 

・会陰ヘルニア

男性ホルモンの影響で肛門周囲の筋肉が弱まり、隙間に腸や膀胱が入り込んでしまう病気です。

腸が入り込むと便秘、膀胱が入り込むと尿閉塞を起こし、急性腎不全につながることもある緊急疾患です。

 

・前立腺肥大症(犬)前立腺は膀胱の根元にある副生殖器で、男性ホルモンの影響で肥大することがあります。

進行すると尿道や直腸を圧迫し、血尿・血便・排尿や排便のしぶりが見られます。

一度肥大しても、去勢手術を行うことで小さくなるため、治療法としても有効です。

 

◆ 性ホルモンに関連する行動の改善

•発情期の興奮や攻撃性の増加

•マウンティング、マーキング、スプレー行動などの問題行動(※早期の手術

で抑制しやすくなります)

•発情期に伴うホルモン変動による食欲低下や夜鳴きなどのストレス

 

 

🐱 避妊手術のメリット

◆ 性ホルモンに関係する病気の予防

・子宮蓄膿症

子宮内に膿が溜まる病気で、外陰部からの排膿、多飲多尿、食欲不振などが見られます。進行すると命に関わることもあります。

 

・卵巣腫瘍

上皮性腫瘍、胚細胞腫瘍、顆粒膜細胞腫などがあり、種類によっては肝臓・腎臓・肺などに転移することもあります。

 

・乳腺腫瘍

乳腺にできるしこりで、犬では約50%、猫では約80~90%が悪性といわれます。

初期は無症状のこともありますが、進行すると自壊や出血、転移が起こります。

特に初回発情前に避妊手術を行うと、発生率を9割以上抑えることができるとされています。

 

 

◆ 性ホルモンに関連する行動の改善

発情期に伴うホルモン変動で、食欲低下や夜鳴きが見られることがあります。

また、犬では発情期(ヒート)に外陰部からの出血がありますが、避妊手術を行うことで衛生的

な環境を保つことができます。

 

⚖ 去勢・避妊手術のデメリット

•麻酔・手術に伴うリスク(感染、呼吸・循環器への影響など)

•ホルモン変化による体重増加の傾向

•繁殖ができなくなること

 

 

🏥 手術にあたって

去勢・避妊手術はいずれも予防的手術であり、基本的に安全を前提として行います。

術前には血液検査・レントゲン検査・心電図検査などを実施し、麻酔が安全にかけられるか確認します。

また、身体検査で臍ヘルニアや乳歯遺残が見つかった場合は、同時に処置することもあります。

術後は傷口を舐めないよう、エリザベスカラーや術後ウェアを着用していただき、10日ほどで抜糸となります。

基本的には普段どおりの生活で問題ありませんが、ホルモンの影響で太りやすくなるため、体重管理には注意が必要です。

去勢・避妊後専用のフードもご用意していますので、お気軽にご相談ください。

 

 

🐾 最後に

去勢・避妊手術にはデメリットもありますが、

多くの病気を予防し、ワンちゃん・ネコちゃんの健康で長生きな生活をサポートすることができます。

大切なご家族のためにも、ぜひ手術をご検討ください。

 

獣医師 堤・本多